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【映画レビュー】シャイロックの子供たち|銀行という名の迷路で、人は何を失うのか?

あ〜、やっちまった。観終わったあと、思わず「スカッ」としたとか言いながら、心のどこかでゾクゾクしてる自分がいた。

Netflixで『シャイロックの子供たち』。いやもう、阿部サダヲさんが出てる時点で、ある程度は構えてたんだけど…あれ?今回は“いい人”側!?

最初はね、「あ〜この人、きっとやらかしてる側だな」って警戒して観てたの。でもだんだん、「え、違うの?え、むしろ被害者側?」ってぐいぐい引き込まれて。結局、最後までいい意味で裏切られっぱなし。


舞台は銀行。でもこれは、単なる銀行の話じゃない。

東京第一銀行の長原支店で起きた、ささやかな“現金紛失事件”。…って聞くと、「また小さな事件から始まる池井戸作品か〜」って油断するでしょ?でもこれがまさか、支店全体どころか、銀行という組織の闇をえぐり出す、えげつない展開になっていく。

キャッチーに言えば、これは「金と正義の迷路で、誰が本当の“シャイロック”なのかを探す旅」だ。…いや、ちょっとカッコつけすぎた? でも観終わった人ならきっと、この意味分かってくれるはず。


阿部サダヲの“静かな狂気”。

今回の阿部サダヲさん、すごかった。派手に暴れるわけでも、大声を張り上げるわけでもない。でも、じわじわと内側から「何か」が滲み出てくる感じ。目が語ってる。声のトーンの揺れだけで、感情が読み取れる。

あれ、ズルいよ。最後のシーンなんか特に、「え、そこまで計算されてたの…?」って鳥肌立った。





誰が味方で、誰が敵か?

この映画、登場人物が多い。最初は「名前と顔が全然一致しねぇ…」ってなったけど、それが逆に“群像劇”としての面白さに変わってくる。

  • 上戸彩さん演じる北川愛理の、上司に食ってかかるシーン。地味にグッときた。
  • 玉森裕太くんの田端は、正直最初なめてたけど…後半の豹変ぶり、ビビる。
  • 柳葉敏郎、佐藤隆太、柄本明…とにかくベテラン勢の芝居が渋いのなんの。

中でも一番良かったのは、“誰も完全な正義ではない”って描き方。九条、副支店長ね。あいつも単なる悪党じゃないのよ、これがまた。どこかに「仕方なかった」と思わせる余地がある。モヤモヤするけど、そこがいい。


原作との違いって、良い意味での“割り切り”。

俺、原作も読んでるんだけど、映画は明らかに西木視点に寄せてきてたね。群像劇の構造は残しつつも、「西木という男の生き様」にぐっと焦点を当てて、そこに“映画としてのドラマ”を詰め込んだ感じ。

原作と比べて「軽くなった」と思う人もいるかもしれない。でも俺は、これが映画というフォーマットに合った“最適化”だったと思う。2時間でここまで詰め込んだの、拍手。





そして俺たちは、何を見せられたのか。

観終わってまず思ったのが、「組織って、やっぱ怖ぇな」ってこと。銀行っていう“お堅い”イメージの職場なのに、そこには人間の嫉妬、欲望、保身、裏切り…もう、サスペンスドラマの縮図みたいになってる。

でもさ、それって実は、俺たちの職場や日常にもあるんじゃないかって、ちょっと冷や汗。出世競争とか、情報の隠蔽とか、責任の押し付け合いとか…どこまでが「リアル」で、どこからが「フィクション」か分からなくなる。

それでも、西木が最後に見せた“ある選択”には、少なからず救いがあったように思う。「ああ、まだ人間捨てたもんじゃない」って。いや、ちょっと美談にしすぎか?(笑)


まとめ:静かな熱量。二度観ると、きっともっと震える。

1回目で「スカッ」として、2回目で「ゾッ」とする。そんな映画だった。細かい伏線とか、最初は気づかないミスリードとか…絶対2回観た方が面白い。

でもね、あんまり構えずに観てほしい。エンタメとしてもちゃんと面白いし、重たくも軽くもない絶妙なバランスで、ちゃんと“考えさせて”くれる。

ちなみに、今はNetflixで観られるけど、他の配信サービスでも出てるっぽい。時間あるときにぜひ。阿部サダヲさんの“静かなる叫び”を、聞いてあげてください。





で、最後にひとこと。

それにしてもさ、最近ほんと映画館行かなくなったよなぁ…。配信って、便利なんだけど、なんか“映画観た感”がちょっと薄いの、俺だけ?

誰か、「映画館行こうぜ」って誘ってくれませんかね(笑)

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