ひとりキャンプに、ずっと少し憧れがある。
焚き火を見ながらコーヒーを飲む。
誰にも急かされず、椅子に座ってぼーっとする。
スマホを見ない時間を作る。
いい。
かなりいい。
ただ、同時にこうも思う。
「え、ひとりで外に泊まるの、普通に怖くない?」
キャンプ好きの人は、ギア名を呪文みたいに唱える。
テント、タープ、シュラフ、マット、バーナー、ランタン。
小市民の俺は、その単語の波を浴びただけで、いったん通販サイトを閉じたくなる。
でも、たぶん最初から完璧なソロキャンパーになろうとするからしんどい。
今回は、初心者がひとりキャンプを始めるために、怖さと荷物を小さくする方法を整理する。
最初の正解は「泊まらないキャンプ」でもいい
ひとりキャンプというと、いきなりテント泊を想像しがちだ。
夜。山。焚き火。満天の星。
そして、風で揺れるテントの音に過剰反応する俺。
絵としては美しいけれど、初心者の初回としては少し重い。
だから最初は、デイキャンプでいいと思う。
昼に行って、明るいうちに帰る。
テントを張らず、椅子とテーブルだけでもいい。
料理をしなくても、コンビニのおにぎりと温かい飲み物で十分だ。
それでも、外で座って、風を感じて、少し不便を楽しむ感覚は味わえる。
いきなり一泊に挑むより、「外で過ごすことに慣れる」方がずっと大事だ。

場所は“自然の深さ”より“逃げ道の多さ”で選ぶ
初心者が最初に選ぶ場所は、自然が深ければ深いほどいい、というものではない。
むしろ大事なのは、逃げ道の多さだ。
- 管理人さんがいる
- トイレと水場が近い
- 車や公共交通で帰りやすい
- 電波が入る
- 売店や近くの店がある
- レンタル品がある
こういう場所は、玄人感こそ薄いかもしれない。
でも初心者には、その薄さがありがたい。
「忘れ物をしても詰まない」
「怖くなったら帰れる」
「困ったら聞ける」
この安心感があると、楽しむ余裕が生まれる。
ひとりキャンプは修行ではない。趣味である。趣味なのに初回から自分を追い込みすぎると、帰宅後に二度と予約画面を開かなくなる。
道具は“買う前に借りる”がかなり強い
キャンプを始める時、いちばん怖いのがお金だ。
勢いで道具をそろえると、部屋の一角に「まだ一回しか使っていない巨大な布」が誕生する。
これはなかなか心にくる。
だから最初は、買うより借りる。
レンタルのあるキャンプ場を選ぶ。
椅子やテーブルは家にあるもので代用する。
調理はしないで、食べ物を持っていく。
最初から必要なものは、案外少ない。
- 天気に合う服
- 飲み物
- 食べ物
- モバイルバッテリー
- LEDライト
- ゴミ袋
- ウェットティッシュ
- 常備薬
- 現金と身分証
これだけでも、デイキャンプならかなり動ける。
テントや寝袋は、一泊する段階で考えればいい。
火は楽しい。でも初心者は“火を使わない選択”もあり
キャンプといえば焚き火。
あの炎を見つめる時間に憧れる気持ちは、俺にもある。
ただ、火は楽しいぶん、責任もある。
直火禁止の場所もある。
風が強い日は危ない。
灰や炭の処理も必要。
消えたように見えて、まだ熱いこともある。
初心者の初回は、火を使わないキャンプでもまったく負けではない。
温かい飲み物を保温ボトルで持っていく。
パンやおにぎりを食べる。
それだけでも外で食べると妙にうまい。
火を使うなら、キャンプ場のルールを先に読む。風の強い日はやめる。最後まで完全に消火する。
ここは雰囲気より安全優先でいきたい。

ひとりだからこそ、予定は誰かに共有しておく
ひとりキャンプは自由だ。
でも、完全に誰にも言わずに行く必要はない。
行き先、帰る予定時間、キャンプ場の名前。
最低限これくらいは、家族や友人に伝えておく方が安心だ。
スマホの充電も大事。
モバイルバッテリーを持つ。電波が弱い場所は避ける。天気予報を見る。
雨や強風なら、無理に行かない。
「せっかく予約したから」と思う気持ちはわかる。
でも、小市民の趣味は生きて帰ってこそ続く。ここは大げさなくらい慎重でいい。
最初の目標は“また行ってもいいかな”で十分
キャンプ動画を見ると、みんな料理がうまい。
道具の並べ方が美しい。
焚き火の前で人生を整えている。
でも初回の目標は、そこじゃなくていい。
椅子に座れた。
外でご飯を食べた。
寒くなる前に帰れた。
忘れ物に気づいた。
ちょっと楽しかった。
これで十分だ。
ひとりキャンプは、かっこよく始める必要はない。
怖さを小さくして、荷物を小さくして、失敗しても笑える範囲で試す。
そうやって一回目を軽くすると、二回目が見えてくる。
そして二回目が見えてくる趣味は、たぶん長く続く。
俺もまずは、デイキャンプから始めたい。
いきなり満天の星を狙うより、まずは明るいうちに帰って、家の風呂で「今日は外にいたな」としみじみする。
小市民には、そのくらいの余韻がちょうどいい。


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