宇宙って、無音だよね。
空気がないんだから、音が伝わるわけがない。
…はい、この考え、理科としては完全に正解。
ずっとそう思ってたんですよね。映画で宇宙船が爆発するたびに「ドカーン!」って鳴るアレも、心のどこかで「いや、本当はシーンってしてるはずだよな」と冷静にツッコミを入れていたタイプ(笑)。
ところがある日、たまたまNASAが公開している「地球の音」というファイルを聴いてしまった。
それも夜中、ヘッドホンで。
深海みたいな低い唸り声。
鳥のさえずりみたいな不思議な旋律。
ピロピロ、チュルチュル、ゴォォォ……。
正直、最初はこう思った。
「え? 宇宙って無音じゃなかったっけ?」
いやいや、待って待って。教科書では「真空では音は伝わらない」と教わったはず。なのに地球がなぜか歌っている。これは何かの聞き間違いか、それともNASAがちょっとした演出をしたのか。気になりすぎて、その夜は完全に寝るタイミングを逃した(マジで?)。
今日はこの違和感の正体、
「宇宙は無音なのに、なぜ地球の“音”があるのか」について、
小市民キョウ視点で、順番にほどいていこうと思う。
ちなみにこれ、シリーズもののつもりで書いてます。第1回の今回は「そもそも宇宙の音ってどういうことよ?」という入り口の話。地球が発しているとされる“歌”の世界は、奥に入るとさらに変な現象がゴロゴロしているらしい。そのへんは追って取り上げる予定です。
そもそも「音」とは何か
まず基本から、めちゃくちゃシンプルに整理しておきたい。
ぼくらが普段聞いている音は、
空気が震えて、その振動が耳に届いたもの。
太鼓を叩くと「ドン」と鳴る。
声を出すと「こんにちは」が聞こえる。
全部、空気がブルブルしているだけ、と言われている。
つまり音には、「振動を伝える媒体(空気や水など)」が絶対に必要なわけです。
水の中でも音が伝わるのは、水の分子がしっかり振動を運んでくれるから。
逆に、媒体がなければ振動は伝わりようがない。
だから宇宙空間では、
爆発が起きても本来は無音。
近くで超新星爆発が起ころうが、宇宙船同士が衝突しようが、誰の耳にも届かない。これは演出抜きで本当の話。
映画みたいな「ドカーン!」は、
観客のためのサービス音。
あれが無音だったらだいぶ寂しいので、まあサービスは大事ってわけです(笑)。
つまり、
じゃあ「地球の音」の正体は?
ここからが本題。
結論から言うと、
あれは厳密には「音」ではない。
正体は、
電磁波のデータを、人間の耳に聞こえる音に変換したもの。
ちょっと順を追って説明させてください。
地球の周りには、
目には見えないけど、電気と磁気の世界が広がっている。
地球は巨大な磁石みたいな存在で、
その磁力が作るバリアを磁気圏と呼ぶ。
学校で「方位磁針が北を向くのは地球が大きな磁石だから」と習ったあの磁石、めちゃくちゃ大きなスケールで宇宙にもバリアを張っているんですよね。
太陽からは常に、
電子やプラズマの嵐(太陽風)が吹きつけている。
この太陽風が地球の磁気圏にぶつかったり、磁力線の中を電子がぐるぐる飛び回ったりすることで、
磁気圏の中では電磁波が発生する、とされている。
この電磁波は人間には聞こえない。
そもそも音じゃなくて電磁波だから、当たり前といえば当たり前。
でも、探査機のアンテナならその揺らぎを拾うことができる。
そのデータを、
人間の耳に聞こえる周波数へ置き換えると――
聴いてしまえば「うわ、地球めっちゃ歌ってる」と感じるけど、実態はラジオ受信機が外国語放送を受け取って、ちゃんと聞ける言語に翻訳してくれているのに近い。
電磁波という“外国語”を、音という“母国語”に直してくれているわけです。
なぜ鳥のさえずりみたいに聞こえるのか
特に有名なのが、
磁気圏で発生する「コーラス放射」と呼ばれる現象。
名前からして、なんかもう歌う気満々(笑)。
電子が磁力線に沿って、
くるくる螺旋を描きながら動くと、
特定の周波数の電磁波が強調される、と説明されている。
それを音に変換すると、
ピロピロ…チュンチュン…
朝の森みたいな音になる。
寝起きにこれを流されたら、間違いなく「あ、いい朝だな」と思ってしまうやつ。
実際は森ではなく、何百キロも上空のプラズマがやっている演奏なんですけどね。
不思議だけど、
これは作曲でも演出でもない。
物理現象そのもの。
逆に言うと、地球の周りでは常時こういう“歌”が鳴り続けているとも言える。誰も聴いていなくても、宇宙空間で電磁波のメロディが流れ続けている。
そう考えると、ちょっとロマンチックすぎて夜更かしの言い訳に使えそう(笑)。
よくある勘違い
ここは大事なので、念のため整理しておきたい。
宇宙飛行士が宇宙でこの音を直接聞いているわけじゃない。
ヘルメットの中で「ピロピロ」鳴っているわけでもないし、船外活動中に妙な歌声が聞こえてくるわけでもない。
マイクで録音しているわけでもない。
そもそも真空ではマイクの振動板が振動しないので、録ろうにも録れない。
あくまで、
探査機が取得した電磁データを、
あとから音として再生している。
なのでこれは、
宇宙の生音ではなく、宇宙の翻訳音。
ここを誤解すると「宇宙で音が聞こえるってこと? じゃあ理科で習った話、嘘じゃん!」みたいな話になりがちなので注意。
真空無音という大前提は守られていて、その上に「電磁波→音への翻訳」という別レイヤーが乗っているだけ、というのが正確な理解、とされている。
地球という名のラジオ局
この話を知ってから、
ぼくの中でしっくり来たイメージがある。
地球は、宇宙に向けて発信し続けるラジオ局。
ぼくらは空気の世界に住んでいるから、
音しか感じ取れない。
日常で「聞こえる」って言えば、それは空気の振動のこと。
でも宇宙には、
光や電磁波という別の言語がある。
地球はその言語で、ずっと何かをしゃべっているらしい、と言われている。
しかも、それは磁気圏のコーラス放射だけじゃない。
たとえば地球には「シューマン共振」と呼ばれる、ごく低い周波数の電磁波の鳴り(おおよそ7.83Hz前後とされる)が常時存在していると言われている。
地表と電離層のあいだを、雷の放電エネルギーがぐるぐる回り続けて、地球サイズの楽器みたいに鳴っている、というイメージらしい。
さらに、地球はゆっくりと振動もしている。
大きな地震のあとなど、地球全体が「鐘」のようにかすかに揺れ続ける固有振動が観測されることもあるそうで、これも一種の“歌”と呼ばれることがある。
人間の耳にはもちろん聞こえないけど、超低周波の世界では地球はずっと鳴り続けている、ってわけです。
地震波、大気の振動、磁気圏のコーラス、シューマン共振。
種類はバラバラだけど、どれも「地球が出している揺らぎ」という意味では仲間。
これらを総称して「地球の歌」「地球のハム」と呼ぶ人もいる。
静寂とは、
何もない状態じゃなく、
聞く手段を持たない状態なのかもしれない。
そう考えると、夜のしんとした空気の中にも、本当はものすごい量の“音楽”が流れていることになる。聞こえないだけで、世界はだいぶ騒がしい。
まとめ:宇宙は無音。でも無言ではない
宇宙は空気がない。
だから音は伝わらない。
でも地球は、
電磁波や振動という形で、ずっと何かを発信している、と言われている。
それを人間向けに変換すると、
「地球の音」「地球の歌」になる。
ポイントを整理するとこんな感じ。
- 音は媒体(空気・水など)の振動。真空では音は伝わらない(これは確実)。
- 地球の磁気圏では電磁波が発生していて、それを耳に聞こえる周波数へ変換したのが「地球の音」と呼ばれているもの。
- コーラス放射、シューマン共振、地球の固有振動など、「歌」と呼ばれる現象は複数あるとされる。
- どれも、ぼくらが直接聞いているわけではなく、観測機器の翻訳を通して知ることができる世界。
静かに見える夜空も、
実は情報で満ちている。
そう思うと、
夜に空を見上げる時間が、ちょっと楽しくなる。
コンビニ帰りにふと見上げる空も、頭の中で「いま、上の方で誰かが歌ってるんだよな」と思うと、なんだか得した気分(笑)。
次回はこの「地球の歌」シリーズをもう少し奥に進めて、シューマン共振の話あたりをじっくり掘ってみたいと思います。
地球が常に鳴らしている“低音”には、なんとも言えない不思議な噂もくっついていたりするので、その辺りを小市民キョウ視点でほどいていく予定。


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