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LEDが猛烈に点滅してる件──見えてるものが全部だと思ってる脳、意外とスキマだらけなんですよね

テクノロジー

夜、子どもの宿題を見ていたら、ふと机の上のLEDデスクライトが気になったんですよね。まぶしいほど明るく、もちろん点きっぱなし。……と、見えているわけですが。

実はそのLED、1秒間に何百回、下手したら何千回も「オン/オフ」を猛烈に繰り返しているんです。

え、マジで?

いやいや、ちゃんと点いてるじゃん、と思うところなんですが、点いてるように見えているだけ、というのが正確な言い方です。しかもその誤解、LEDが悪いわけじゃなく、こちら側の脳の仕業なんですよね(←これ重要)。

ちなみに、試しに子どもに「ちょっとスマホで照明撮ってみて」と頼んだら、画面に横縞がうねうね走って「なにこれ!」と大騒ぎでした(笑)。

今日はこの「見えない点滅」と、それを連続光だと思い込んでしまう脳のスキマ埋め機能について、ちょっと深掘りしてみたいと思います。

LEDは実はずっと高速でチカチカしている

まず前提を整理します。

白熱電球の時代、光源はフィラメントが熱を持って光っていたので、仮に交流電源で電圧がゼロになる瞬間があっても、フィラメントの余熱でなだらかに光り続けていました。波形でいうと、ゆるやかな山が連続している感じですね。

ところがLEDは半導体。電気が流れた瞬間にパッと光って、止まればスパッと消える。余熱も余韻もないので、波形はギザギザの矩形(くけい)に近くなります。つまり、オンとオフがはっきりしているってわけです。

点滅の正体:リプルとPWM

光がチカチカする理由は、大きく2つあります。

ひとつはリプル(=電源の残り波)。コンセントの交流を直流に変換するとき、完全には平らにならず、わずかな波が残るんです。この波は商用周波数の2倍の速さ——だいたい100〜120Hzで上下します。

もうひとつがPWM調光(Pulse Width Modulation=光る時間と消える時間の比率で明るさを変える手法)。暗くしたいときは光っている時間を短く、消えている時間を長くする。目にはただ「暗くなった」と見えるんですが、実際には超高速で点滅しています。

要するに、LEDは猛烈な勢いで点いたり消えたりを繰り返してるってことです(雑)。

なぜ「点きっぱなし」に見えるのか

ここで登場するのが、我らが脳です。

人間の目と脳には、臨界融合周波数(CFF: Critical Flicker Frequency=脳が連続光と感じる速さの境目) というものがあって、これを超える速さの点滅は「連続した光」として認識されます。数値はだいたい40〜60Hz前後が目安(条件や個人差で幅があるとされる)です。

さっきのリプルもPWMも、このCFFを軽く超えてくる。だから脳は「これは連続した光だ」と判断して、スキマを勝手に埋めてしまうんですね。

感じないはずの点滅を感じてしまう瞬間

ただ、完全に見えないかというと、そうでもなかったりします。

たとえば、こんな経験ありませんか?

  • スマホでLED照明を撮ったら、画面に横縞がうねうね流れていた
  • 首を振ったとき、照明の光が点々の軌跡になって見えた気がした
  • 視界の端にある光だけ、なんとなくチラついて気になった

最初の「カメラの横縞」は有名な話で、カメラのセンサーが画面の上から下へ順番に読み取っていく方式だと、その間にLEDが点滅していて、読み取ったタイミングで明るい部分と暗い部分が縞になってしまう、という現象です。ローリングシャッター歪みなんて呼ばれたりもしますね。

2番目の「首を振ると点々に見える」のも似た話で、眼球が動くと、網膜上で光源の位置が高速でずれていきます。そのときLEDが点滅していると、光っていた瞬間だけ網膜に像が焼き付くので、点線のように残って見える、というわけなんですね。試しに、視線を右から左へサッと動かしてみるとLED信号機が点々に見えることがあるので、夜道で暇なときにどうぞ(笑)。

3番目、視界の端——つまり周辺視野——のほうがチラつきを検出しやすい、と言われることがあります(諸説あり)。「視界の端の蛍光灯だけなんか気になる」というのは気のせいじゃないかもしれない、ってわけです(マジで?)。

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脳は「見えてない部分」を黙って埋めている

LEDの話だけじゃなく、実はこういう「スキマを脳が埋める」現象、あちこちにあるとされています。

まばたきと、動く目の「見えない時間」

人間は1日に何千回もまばたきをしています。まばたきのたびに視界は真っ暗になるはずなんですが、そう感じたことってあんまりないと思うんですよね。

それから、目を動かしたとき——正確にはサッカード(眼球の素早い動き)の最中——視覚情報の処理は一時的に抑制されている、とされています。サッカード抑制と呼ばれる現象です。

つまり脳は、一定の割合で「見えていない時間」を持っているのに、その前後の情報を使ってなめらかに繋いで「ずっと見えていた」ことにしている。人間の視覚体験は、スクリーンショットの連続というより、脳が編集したダイジェスト動画に近いのかもしれません。

気づかないところで情報は欠落している

視覚以外でもそうです。盲点(視神経が網膜を貫通している部分)には視細胞がなくて、そこに来た光は見えていないはずなんですが、日常的に「視界に穴が開いてる」と感じることはないですよね。脳が両目の情報や周囲のパターンから、そこにあるであろうものを推定して補完している、と考えられています。

音もそうで、突発的なノイズでかき消された会話の一部を、前後の文脈から勝手に「聞こえた」ことにしている、なんて話もあるそうです。

Simple is Best、という意味ではよくできている仕組みなんですよね。全部の情報をそのまま処理していたら、脳は一瞬でパンクしてしまう。だから脳は、必要最低限だけ拾って、残りは推測で埋める。効率重視、ってわけです。

「見えてるもの」を疑うくらいでちょうどいい

LEDのフリッカーの話、最初は「へえ、そんな速く点滅してるんだ」という雑学で終わりそうなんですが、もうちょっと引いて眺めると、実はなかなか深い話だったりするんですよね。

見えている世界は、ありのままではない。

目と脳は、世界をそのまま受け取っているんじゃなく、スキマだらけの断片を繋ぎ合わせて「連続した現実」に仕立て上げている。LEDの猛烈な点滅を「ずっと点いてる」と感じるのも、まばたきで真っ暗になったはずの瞬間を「見えていた」と思い込むのも、たぶん同じメカニズムなんだと思うんです。

これって、たぶん物事を考えるときにも応用が利く話で。

「自分はちゃんと見えている」「この状況は全部把握している」と思っていても、そこには相当量のスキマがある気がするんですよね。会議で全部見えてる顔してる人、大体スキマだらけですよ(自戒)。

見えているものを全部だと思わず、スキマに何があるかを想像する余白を残しておく。LEDの見えない瞬きは、人間の感覚の限界を、そっと教えてくれているのかもしれないな、と思ったりします。

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まとめ

  • LEDは、電源リプルやPWM調光の影響で、目に見えない速度でオン/オフを繰り返している
  • 臨界融合周波数(CFF、目安40〜60Hz前後)を超える点滅は、脳が「連続光」として処理する
  • ただし眼球運動・カメラ撮影・周辺視野など、特定の条件下では「見えない点滅」がひょっこり顔を出す
  • 脳は常にスキマを埋めている。視覚体験はダイジェスト動画のようなもの
  • 見えているものが全部だと思わず、スキマを想像する姿勢を持っておくと、日常の見え方が少しやさしくなる

今夜、デスクライトを見つめながら「こいつ、今めっちゃチカチカしてるんだよなあ」と思うと、なんだか世界の解像度がちょっと上がった気分になるんですよね。見えないものを想像するって、意外と楽しかったりします。

みなさんのお部屋のLEDも、今この瞬間、しれっと猛烈に点滅しているはずなので、ぜひスマホのカメラ越しにのぞいてみてください。たぶん、ちょっと驚きます(笑)。

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