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「チリ紙」なぜあんなに薄いのか。──ゴミから生まれた“やさしさ設計”の話

文化・歴史・自然

「チリ紙」って言葉、知ってる?

若い人だと「聞いたことはあるけど、実物は見たことない」かもしれない。逆に、昔使ってた人は、あの“頼りなさそうで、実は頼れる薄さ”を思い出すはず。

この記事では、

  • 「チリ紙」って名前の由来(チリって何だよ問題)
  • なぜあそこまで薄くする必要があったのか(ケチじゃない)
  • 江戸のリサイクルが現代のSDGsより先に走ってた件

このへんを、キョウの小市民目線で、ちゃんと分かるようにほどいていく。

まず結論:薄いのは“貧しさ”じゃなくて“最適化”だ

いきなり身もフタもない話をすると、チリ紙が薄いのは、主にこの3つの理由が重なってる。

  • 肌に当たる道具だから、硬いと痛い(薄いほど柔らかくなりやすい)
  • 水分を吸う道具だから、繊維のスキマが多いほうが吸いやすい(薄くて多孔質=吸う)
  • 安く大量に使う道具だから、限られた原料で“枚数”を稼ぐ必要がある(薄いほど面積が増える)

つまり、薄いのは「弱点」じゃなくて「狙って作った強み」。

なのに見た目だけで「安物っぽい」と判断されがち。世の中そういう誤解、多すぎ問題。





「チリ紙」の“チリ”って何? 地理じゃないぞ

まず、名前の話からいこう。

チリ紙は、もともと古紙(使い終わった紙)とか、製紙の過程で残る不純物(塵=チリ)が混じった安価な紙のことを指す。

高級な紙って、原料をきれいにして、余計なものを徹底的に取り除く。いわば“潔癖仕様”。

でもチリ紙は逆で、「そこまで完璧じゃなくていいから、生活に回そう」って発想。

この時点で、もう小市民の勝利なんだよね。完璧主義を捨てて、現実に強い。

薄さの理由その1:厚いと硬くなる。鼻が負ける

紙って、厚くすると丈夫になるイメージあるでしょ? それはだいたい正しい。

でも、鼻をかむ紙に必要なのは、「丈夫さ」よりもまず当たりの柔らかさ

ここで登場するのが、物理のやつ。剛性(曲がりにくさ)って、ざっくり言うと「厚みの影響がめちゃくちゃデカい」。

厚いほど“板”っぽくなる。ティッシュじゃなくて紙ヤスリだったら地獄。

だから薄くする。薄いと繊維がふわっと動いて、肌に沿いやすい。結果、やさしい。

チリ紙の薄さは、貧しさの象徴というより、鼻(および肌)に対する配慮設計でもある。





薄さの理由その2:薄いのに吸う。むしろ吸う

「薄い=吸わない」って思い込み、あるよね。

でも現実は逆。薄いチリ紙が吸うのは、繊維の間にスキマが多くて、そこが水分を引っ張るから。

この現象を理科っぽく言うと毛細管現象。難しそうだけど、要するに「細いすき間は水を勝手に吸い上げる」ってやつ。

スポンジが水を吸うのも同じ方向の話。

チリ紙は、薄くてスキマが多い。だから、吸う。

厚い紙(たとえば画用紙)で鼻をかんだらどうなる?

……吸わない。拭けない。むしろ“塗る”。最悪。

薄さの理由その3:コストの話。枚数は正義

そして現実問題として、生活用品は「安さ」がないと普及しない。

チリ紙は日常でガンガン使うもの。つまり消耗品。消耗品は、安いことが最大の機能になったりする。

限られた原料から、どれだけたくさんの“使える面積”を作れるか。

ここで薄さが効いてくる。薄くすれば、同じ原料でもより多くの枚数にできる。

「薄いから安い」じゃなくて、正確には「薄くする工夫で“安さ”を成立させた」。

これ、現代のコスト設計にもそのまま使える発想だと思う。




江戸の“循環”は、わりとガチで現代より先に行ってる

チリ紙のルーツとしてよく語られるのが、江戸時代の浅草紙(あさくさがみ)

江戸の町って人口が多い。すると、紙も大量に使われる。

でも紙は貴重品。だから捨てない。捨てるなんて、今で言うと「スマホを燃えるゴミへ」くらいの感覚かもしれない。

そこで登場するのが、古紙を集める人と、それを再生する職人。

紙を回収して、ほぐして、また紙にする。

これ、今の言葉で言うならサーキュラー・エコノミー(循環型経済)

つまり江戸の町は、意識高い系スローガンがなくても、普通に循環してた。

理由はシンプル。「資源がないから」そして「生きるため」。

理想じゃなくて現実が、いちばん強い。




「水に溶けやすい」って、地味だけどインフラ級

もうひとつ、チリ紙が“生活の紙”だった理由がある。

昔の便所は今みたいに水洗が標準じゃない。汲み取り式も多い。

この環境だと、紙は「水でバラける」ほうが都合がいい場面がある。

現代のボックスティッシュって、濡れても強さを保つように作られてることが多い。

それはそれで便利だけど、用途が違う。

チリ紙は、“汚れを拭って、生活の流れに戻せる紙”として最適化されてた面がある。

地味だけど、こういうのが社会インフラを支えてる。

誤解されがちポイント:チリ紙は「汚い紙」ではない

名前に「チリ」って入ってるせいで、どうしてもイメージが悪い。

でも、製造の過程では煮沸や洗浄などの工程があり、衛生的に成立するよう管理されてきた。

ここで大事なのは、チリ紙が「汚いもの」なのではなく、“見た目の白さ”より“機能と価格”を優先した紙だってこと。

高級品じゃない。だけど生活を支える道具としては、かなり賢い。

小市民の教訓:「完璧」より「ちょうどいい」を作る人が勝つ

チリ紙って、なんか響きがつつましい。

でもその実態は、「制約の中で最適解を出す」っていう、めちゃくちゃ強い考え方の結晶。

捨てられるはずのもの(チリ)を集めて、必要なものに作り替える。

そして薄さという一見マイナスを、やさしさ・吸水性・安さに変換する。

こういうのを見てると、「発明」って派手な天才のひらめきだけじゃなくて、生活の困りごとを地道に潰す執念から生まれるんだな、って思う。




まとめ:薄さは、知恵の厚みだ

  • チリ紙の「チリ」は、地理じゃなくて塵(不純物・古紙のニュアンス)
  • 薄いのは、柔らかさ・吸水性・低コストを同時に成立させるため
  • 江戸の浅草紙は、循環型社会のリアルな先輩
  • “完璧じゃない”を選ぶことで、生活は回る

次にティッシュを使うとき、ちょっとだけ思い出してほしい。

「薄い紙」って、頼りないんじゃない。

暮らしに対して、めちゃくちゃ現実的で、めちゃくちゃ優しいってことを。





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