朝、寝ぼけ眼で電子ケトルのスイッチを入れて、
ボーッと待っていると……
「カチッ」
……はい、沸きました。
この一瞬、当たり前すぎて誰も気にしない音。
でもね、ぼくはずっと思ってたんです。
「え、今どうやって“沸いた”って判断した?」
温度センサー?
マイコン?
AI?(さすがにそれはないか)
見た目はピカピカの最新家電。
でも中身をのぞくと……ちょっと感動するくらい、原始的でした。
結論から言うと、電子ケトルは“考えて”いない
多くの電子ケトルは、
「今100℃になりましたね」
「ではスイッチを切りましょう」
……なんて判断を一切していません。
代わりに何をしているかというと、
蒸気で金属を熱して、物理的にスイッチを叩き落としている
という、びっくりするほど脳筋な方法です。
ぼく、これ初めて知ったとき
「いや、それでいいの!?」って笑いました。
主役は「バイメタル」──熱で曲がる金属
電子ケトルの心臓部にいるのが、バイメタル。
これは簡単に言うと、
「熱の伸び方が違う金属を2枚くっつけたもの」
です。
金属Aはよく伸びる。
金属Bはあまり伸びない。
この2つを貼り合わせると、
温めた瞬間に……
「うわっ、曲がった!」
となる。
この「曲がる」を利用して、スイッチを切る。
以上。
シンプルすぎて逆にカッコいい。
でも、水は直接触ってない。蒸気が使者
ここがちょっと面白いところ。
電子ケトルは、
お湯の中に温度計を突っ込んでいるわけじゃない。
じゃあ何を見てるのか。
答えは、
「蒸気が出たかどうか」
なんです。
ケトルの内部には、
目立たないけどちゃんとした蒸気の通り道があります。
水がグツグツ沸騰すると、
100℃の蒸気がモクモク発生。
それが専用ルートを通って、
バイメタルのところへ直行。
そして……
「熱っ!」
「反る!」
「パチン!」
で、電源オフ。
あの「カチッ」は、スナップアクションの音
ちなみに、あの音。
じわ〜っと切れるんじゃなくて、
一気に「カチッ!」と切れるのには理由があります。
バイメタルは、
ある温度を超えると突然ひっくり返るように作られています。
これをスナップアクションと言います。
中途半端な接触だと、
火花が出たり、部品が痛んだりする。
だから、
切るなら一瞬で。迷わず。
「ハイテクより、物理法則を信じる」という潔さ
正直、今の時代なら
- 温度センサーを入れて
- マイコンで制御して
- ソフトウェアで判断
……も、できます。
でもそれをやらない。
なぜか。
物理法則は裏切らないから。
金属は、熱くなれば必ず伸びる。
伸び方が違えば、必ず曲がる。
フリーズもしないし、
アップデート失敗もしない。
電源が入っていれば、必ず動く。
これ、フェイルセーフ(壊れにくい安全設計)の教科書みたいな話です。
ぼくはここに、設計者の
「余計なことはしない」
「確実なものだけを信じる」
よくある誤解、まとめて潰そう
ついでなので、ありがちな勘違いも。
・水温を測っている?
→ 測ってません。蒸気です。
・音を検知している?
→ 聴覚ゼロです。
・時間で切っている?
→ タイマーではありません。
・フタ開けっぱなしでも止まる?
→ 止まりません。蒸気が逃げます。危険です。
まとめ:最新家電の中で、いちばん信用できるのは「金属」
電子ケトルの「カチッ」は、
デジタルの勝利ではありません。
むしろ逆。
アナログの完全勝利です。
複雑な判断を捨てて、
自然法則に全部丸投げする。
これ以上、誠実な設計ってある?
って思うんですよね。
次にケトルの音を聞いたら、
ぜひ思い出してください。
中では小さな金属が、
「あっちぃ!」
「もう無理!」
って全力で仕事してます。
……人間も、たまにはこれくらい単純でいいのかもしれません。



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