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日本の「法律」 なぜあんなに読みにくい?――正義を守る「不自然な鎧」の正体

政治・経済

こんにちは、キョウです。

法律を開いた瞬間に出てくる、あの独特の文。

「〜の規定にかかわらず」「〜とみなす」「及び」「並びに」「又は」「若しくは」……。

読みにくい。分かる。ぼくも、分かる。

正直、最初は「日本語としてどうなの?」って思った。

でもね。いろいろ見ていくと、あの“読みにくさ”って、文章が下手だからじゃない。
わざと日常会話から遠ざけて、解釈の余地(=揉める余地)を削るための設計なんだよね。

この記事では、法律が読みにくい理由を「構造」と「目的」からほどきます。
読み方のコツも一緒に置いておくので、「苦手だけど避けられない」人の救急箱になればうれしい。


法律は「文章」じゃなくて「仕様書」だと思うと、だいぶ楽になる

いきなり結論っぽいけど、法律って、気持ちを伝える文章じゃないんだ。

法律がやってるのは、だいたいこれ:

  • 条件(こういうとき)
  • 対象(誰が)
  • 効果(どうなる)

つまり、「if(条件) then(効果)」の集合体。

だから法律の文章は、読ませるためのエッセイじゃなくて、社会を動かすための“ルールのソースコード”みたいなものになる。

ソースコードって、読みやすさも大事だけど、それ以上に「誤解されないこと」「同じ入力に同じ結果を返すこと」が命でしょ。

法律も同じ。
冷たいくらい機械的であることが、逆に公平なんだよね。


読みにくさの理由1:わざと「日常語」を捨てて、意味を固定する

日常会話の言葉って、便利だけどブレる。

たとえば「すぐにやって」。
人によって「今すぐ」だったり「今日中」だったり、まあブレる。

法律は、このブレが許されない。
だから、日常語っぽい言葉も、法律の中では別の意味で使うし、そもそも“専用語”に置き換える。

代表例:「みなす」と「推定する」

この2つ、雰囲気で読んでるとだいたい事故る。

用語ざっくり意味ポイント
みなす事実がどうでも、法律上は「そういうことにする」反証(ひっくり返す証拠)を基本的に許さない
推定する基本は「そうだと扱う」反証があれば覆る余地がある

この差、地味に見えて、法律の世界では超パワフル。
一言違うだけで、責任の押し付け先(立証の負担)が変わったりする。

日常の日本語に寄せると、逆に誤解の種が増える。
だから“わざと変な言い方”をして、意味を固定してる。






読みにくさの理由2:例外処理を盛りすぎて、一文が巨大化する

法律が長いのって、だいたい「例外」のせい。

現実の社会って、例外だらけだよね。
「原則こう」だけ言っても、すぐ穴が開く。

だから法律は、こんな部品を多用する:

  • ただし書き(「ただし、〜の場合を除く」)
  • 例外スイッチ(「〜の規定にかかわらず」)
  • 読み替え(「この場合において、AはBと読み替える」)

結果、文章は読みにくくなる。
でも、これは「意地悪」じゃなくて、未来の揉め事を未然に潰すための過剰防衛なんだ。

ソフトウェアでいうと、いろんな入力パターンを想定して、バグを潰してる状態。
バグが残ると、最後に困るのはユーザー(国民)だからね。




読みにくさの理由3:接続詞が「括弧」として機能してる

法律を読みにくくしてる犯人ランキング上位、たぶんこの4語:

  • 及び
  • 並びに
  • 又は
  • 若しくは

これ、ただの「and / or」じゃない。

階層(レベル)を作るための記号なんだよね。
つまり、括弧の代わり。

ペア役割感覚的な読み方
及び / 並びにand(併合)小さいまとまり=及び、大きいまとまり=並びに
若しくは / 又はor(選択)小さい選択=若しくは、大きい選択=又は

たとえば、こんなやつ:

「A及びB並びにC」

これは、ざっくり括弧にするとこう:

(A及びB)並びにC

読みにくい? うん。読みにくい。
でも、これを適当に「AとBとC」って書いちゃうと、どこでまとまってるかが人によって変わって、裁判で戦争が起きる。

法律は、戦争を起こさないために、文章が戦闘装備みたいになってる。
皮肉だけど、筋は通ってる。




読みにくさの理由4:「すぐに」の言い方が3種類ある(しかも微妙に違う)

法律は「時間」にもうるさい。

日常会話の「早めにやる」は便利だけど、責任を問う場面では曖昧すぎる。
だから、似た言葉を使い分ける。

表現ニュアンス雑な訳
直ちに最も即時性が強い今すぐ
速やかにできるだけ早くなる早
遅滞なく正当な理由がなければ遅らせない遅れるな(理由があるなら仕方ない)

この3つ、ビジネスメールで適当に混ぜると炎上するやつ。
法律だと、もっと大惨事になり得る。


読みにくさの理由5:改正のしかたが独特で、単体で読めない

法律って、しょっちゅう改正される。

で、改正の文章がまた独特。

「第○条中『A』を『B』に改める」

この形式、俗に「改め文」って呼ばれる。
これ単体だと意味が取りにくいのは当然で、元の法律と突き合わせて初めて読める

ただ、ここで救いがある。
今は、現行法として溶け込ませた形で読める仕組みが整ってきた。

つまり、「改め文で読む」という苦行を、なるべくやらなくて済む時代になってきてる。
小市民に優しい。





「読みにくい=わざと難しくしてる」は半分当たりで、半分ハズレ

たまに言われるやつ。

「法律を難しくして、専門家だけが得するようにしてるんでしょ」

気持ちは分かる。
ぼくもイラっとする瞬間はある。

でも、構造の目的はむしろ逆で、恣意(その場の気分)を減らして、誰にでも同じルールを当てることなんだよね。

法律が友達みたいな口調だったらどうなるか。

「まあ状況にもよるけど、だいたいダメっすね」

こんな条文、怖すぎる。
裁判官の気分と空模様で結果が揺れる未来が見える。

だから法律は、感情を捨てて、条件と効果だけを書く。
その結果として、読みにくくなる。
読みにくさは、平等を維持するための鎧。





キョウ式:法律の「読み方」最低限のコツ(これだけで事故率が下がる)

ここから実用編。
法律を読むとき、いきなり最初から最後まで読もうとすると負ける。

やることは3つだけ。

主語を探す:「誰が」

「者」「人」「法人」「行政庁」など、対象をまず確定する。
ここがズレると、全部ズレる。

条件を抜く:「いつ」「どんな場合」

「〜の場合において」「〜ときは」「〜するとき」などを拾って、条件だけ別メモにする。
法律は条件が入れ子になるので、メモした方が早い。

効果を見る:「どうなる」

「〜しなければならない」「〜してはならない」「〜できる」などで、義務・禁止・許可を判定する。

この3点を並べると、条文が急に“仕様”として見える

そして、例の接続詞はこう扱う:

  • 及び/並びに:括弧の位置を決める部品
  • 又は/若しくは:選択肢のグルーピング部品

「文章を味わう」じゃなくて「構造を分解する」。
法律はこれが正攻法。




社内ルールや契約書にも効く:法律の“固さ”は真似すると強い

最後に、仕事に効く話。

社内規程とか契約書って、ふわっと書くと必ず揉めるよね。
「常識で考えて」って言った瞬間に、常識が人によって違う問題が発生する。

だから、法律の文章って、そのまま真似しろとは言わないけど、「定義する」「例外を明示する」「接続を構造化する」は、めちゃくちゃ役に立つ。

やりすぎると社内文書が法典みたいになってしまうので、バランスは必要。
でも、揉めない文章のコツは、法律が全部持ってる。





まとめ:法律の読みにくさは、ぼくらを守るための“鎧”だった

法律が読みにくいのは、ざっくり言うとこう:

  • 曖昧さを殺して、意味を固定するため
  • 例外処理まで書いて、未来の揉め事を減らすため
  • 接続詞で括弧を表現して、解釈のズレを防ぐため
  • 改正方式の都合で、単体だと読みにくくなりがちなため

つまり、読みにくさは欠陥というより、社会システムの安全装置。

もちろん「もっと分かりやすくできる余地」はあるし、現代語化・平易化の流れもある。
でも、法律が完全に“親切な口調”になる日は、たぶん来ない。

なぜなら、法律の役割は「優しい説明」じゃなくて、同じ条件に同じ結果を返すことだから。

今日の結論。
法律の不自然な固さは、正義を保つための鎧

……とはいえ、鎧がゴツすぎて近寄りがたいのも事実。
だから、読むときは“構造を分解”でいこう。小市民は正面突破しない。賢く逃げ道を作る。

※この記事は読み方の整理であり、個別案件への法的助言ではありません。具体的な判断が必要なときは専門家に確認




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